雇用管理のアドバイスを行う中で一番残念に思うのが、
「人間関係が退職の理由となっている」事例が多いことです。
企業内、取引先の全ての人と気持ち良く仕事が出来れば理想的ですが、
必ずウマの合わない人というのがいるものです。
そしてそれは、転職しても同じこと。
また、誰ともうまく仕事ができない人が就業環境を悪化させているなら、
その状況を放置している企業の責任だと考えます。
少なくとも、働きにくさの原因が人間関係であることを無くしたい。
本人が仕事の為と思っていることが間違っているなら、
気付いて頂き加害者になるのを防ぎたい。
それには、形だけの研修ではなく、
個別に寄り添う形で対応するのが一番だと思いました。
【行為者に自覚がない例】
小規模事業所で、他の従業員では対応できない業務をしている人(Aさん)がいました。
本来その状態は望ましくないのですが、人件費に余裕がなく、Aさんも仕事を抱え込み人に振らないタイプだった為、替えがきかない状況が続いていました。
ある時から、新しく人を採用しても数か月以内に自己都合で辞めてしまうことが続き、不審に
思った会社が退職者に本音を確認すると、Aさんが怖い、質問しても叱責を受けるから辞めたという回答が複数あったのです。
驚いた会社はAさんに聴き取り調査を行いましたが、能力が低いから指導しただけ、私を疑うのは心外だと言って認めようとはしませんでした。
この会社の場合、新人とAさんを天秤にかけ、目の前の業務処理の為にAさんを優先する状態になっています。
しかし、今後雇った人が、Aさんの言動により心を病んだ場合はどうでしょうか。本件が労災認定されれば、Aさんを懲戒処分する、退職勧奨を行う等の方法を取らざるを得なくなります。個人のメンタルが弱いという考えで片付けてはいけない問題なのです。
優秀で替えのきかない人が加害者にならないよう、会社が先に手を打つべき事案です。