参加するか迷っている事業主の方へ
労使トラブルの内容によっては、制度に参加し和解した方が良いケースもあります。
強制力が無いからといって放置すると、後で大変な目に遭うことも!
「会社は間違っていない」と思っても、通知が届いた場合は是非一度ご相談ください。
各都道府県労働局等には「個別労働紛争解決促進制度」に基づく調停の場が設けられています。
これは、労使のトラブルを、簡単な手続きで時間をかけずに和解へと導くことを目的とした制度
です。
特徴としては、
・労使双方からの利用が可能(労働者側の利用がほとんど)
・双方の主張をあっせん委員(学識経験者等)が聞き取り、専門知識や過去の判例に基づいて、
和解するよう促す制度
・労働局等の制度を利用する場合は無料
・原則として事実確認は行わず(証拠集めをしない)、双方の主張のみが判断基準
・和解案に強制力はなく、不調の場合はそこで終了
・代理人を立てることが可能(弁護士、特定社会保険労務士)
・協議は最大で3回まで
・パワーハラスメントに関するトラブル
例1)会社がパワハラを放置した為にうつ病になった。労災認定は受けていないが補償して欲しい
例2)パワハラを受けて会社に相談したが相手にしてもらえなかった為、やむなく退職した
・有期雇用の雇止めに関するトラブル
例1)契約更新をしてもらえると思っていたが雇止めになった
例2)雇止めの理由が納得いかない
・離職理由に関するトラブル
例1)会社より退職勧奨を受けて退職したが、雇用保険の離職理由が「自己都合」になっていて、
失業給付がすぐに貰えない。
例2)退職前に有給休暇をまとめて消化したら、退職金が減額されていた。
会社から見ると、一方的な主張で明らかに本人の落ち度がある、と思われるケースでも、
あっせん制度の利用は可能です。
1.会社に落ち度がある場合の例
①退職時に会社の望むレベルで引継ぎを行わなかった従業員の退職金を全額不支給とした。
②不服に思った元従業員が労働基準監督署に申告し調査を受けたが、退職金規程があいまいで
あった為、不支給決定が賃金未払いとはならず調査は終了した。
③元従業員があっせん制度を利用し、退職金の一部支給を求めてきた。
→長期間に渡り勤務した従業員の退職金を全額不支給とするには、相応の理由が必要です。
労使慣行により他の従業員に退職金を支払っている場合、民事訴訟ではその不支給理由が
厳しく問われ、支払を求められる可能性があります。
労働審判や民事訴訟に至る恐れがあるときは、あっせんの場で和解することが良策です。